
東ローマ帝国(ビザンツ帝国)って、地中海とアジアを結ぶ「シルクロード」の西の終着点みたいな存在だったんです。
ではその東の道から、いったい何が運ばれてきたのか?
結論からいえば、東ローマ帝国がシルクロード貿易で輸入していたのは、「絹」「香辛料」「宝石」「医薬品・薬草」「異国の動植物」など、東方からの貴重品が中心でした。
それぞれがどんな役割を果たしていたのか、詳しく見ていきましょう。
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シルクロードという名のとおり、やっぱり一番有名なのが絹ですね。
中国(漢・隋・唐など)から運ばれてきた絹は、ビザンツでは高級貴族の象徴。
特に絹の織物に紫色染めや金糸の刺繍が施されたものは、皇帝や高位の官僚しか使えないほどの特別な品でした。
6世紀、ビザンツの修道士たちが中国から蚕の卵と桑の種を持ち帰り、帝国でも養蚕が始まります。
とはいえ、純粋な中国絹のブランド価値は高く、東方からの輸入はずっと続いていたんです。
料理だけでなく、宗教儀式や医療にも使われた香辛料は、まさに東方貿易の花形商品でした。
インドや東南アジアで採れるクローブ、シナモン、胡椒などの香辛料は、シルクロードとインド洋経由で地中海へ。
ビザンツでは薬品・防腐剤・高級料理の調味料として重宝されていたんです。
アラビア半島やアフリカから運ばれてきた乳香(フランキンセンス)や没薬(ミルラ)は、
教会の典礼や王室の儀式でよく使われる“神聖な香り”でした。
東方からやってくる装飾品・宝石類も、ビザンツの貴族文化には欠かせませんでした。
インドや中央アジア、中国からは色とりどりの宝石が届き、皇帝の王冠や聖遺物箱などを飾るのに使われました。
ペルシア経由で入ってきた金銀の細工品や陶器は、宮廷での贈答品や宗教施設の装飾に使われていました。
当時の人々にとって、東から来る薬草や香料は“命をつなぐ知恵”でした。
熱を下げたり、消毒効果があると信じられたカンフル(樟脳)や竜脳(芳香性の樹脂)などは、薬としての価値も高かったんです。
薬としてだけでなく、魔除けや呪術のような目的でも、東方の香料は使われていました。
とくにビザンツでは、医療と信仰が密接に結びついていたので、こうした輸入品には霊的な意味もあったんですね。
たまにですが、ちょっと風変わりな“珍品”も東からやってきました。
使節団や交易ルートを通じて孔雀、ラクダ、象などが贈り物として到着したことも。
こうした動物は皇帝の庭園や行列で披露され、帝国の豊かさと広がりを象徴する存在になりました。
中国からは紙や漆器、陶磁器なども伝わっており、学者や貴族たちの間で東方の高級品として愛されていました。
東ローマ帝国(ビザンツ帝国)は、ただの“受け取り手”ではなく、シルクロード貿易を通じて東西の文化・経済を結ぶ重要なハブだったんですね。
このように、絹や香料だけでなく、宗教・医療・芸術にもつながる東方からの贈り物が、帝国の華やかさを支えていたのです。